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$l(b)$ の正体

前節で、

\begin{displaymath}l(b)(=(b^x)'\vert _{x=0})=\lim_{h\to 0}\left(\frac {b^h-1}{h}\right)
\end{displaymath}

という関数を導入したが、これは実は対数関数なのだ。 この節ではそのことを示そう。 $1$ より大きい正の数 $b$ をとって、とりあえず固定しておく。 正の実数 $c$ を任意にとり、

\begin{displaymath}c^x=b^{x \log_b(c)}
\end{displaymath}

ということに着目する。 上の式の両辺を $x$ で微分し、$x=0$ とおくと、

\begin{displaymath}l(c)=\log_b(c)l(b)
\end{displaymath}

$b$ を止めて $c$ を動かすと、$l(c)$$c$ の関数として $\log_b(c)$ の定数倍であることがわかる。 対数関数のいくつかの性質を思い出せば、 これで前々節保留しておいた $l(b)$ の性質が確かめられたことになる。

さらに、

\begin{displaymath}l(b)=log_e(b)
\end{displaymath}

であることもついでにわかったわけである。

Yoshifumi Tsuchimoto
2000-04-12