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巾級数による展開は関数を識別するための「名前」としても
優れている。
実際、個々の関数に
等々の名前をつけても、
その関数の性質はちっとも明らかにならないのにたいし、
関数を巾級数で与えてみると、その巾級数の個々の係数は
関数のもつ性質をかなり雄弁に語ってくれることが多い。
その典型的なものが、この小節で述べる指数関数と対数関数の関係である。
この関係式は、もちろんいろんな形で説明できるが、
巾級数による記述は簡潔で、分かりやすい。
と、
の巾級数展開
とから、次のことを見てとることができる。
あるいは、書き換えると、
とくに、上の式で
が実数の時だけを考えて、
の変わりに
と書くと、
という関係式を得る。
この一見奇妙な関係式は、実にいろいろな応用を持った、
現代数学に決して欠かせない式である。
この式の一つの応用として、
複素数の指数関数を、(高校生卒業程度の知識を持つ諸君にとっては)
見慣れた実関数のみを用いて書き直すことができる。
Yoshifumi Tsuchimoto
2000-04-12