: 余談:Fubini-Study 計量の形式的な導き方について
: 複素射影空間
: 複素射影空間のケーラー構造
この節では、Fubini-Study 計量の幾何学的な定義について
振り返ってみよう。
次のように、
は の商空間と見倣せる。
には
から誘導された計量が入り、
それは の作用で不変だから、
の計量を定める。
これが
の Fubini-Study 計量である。
本稿では余り用いないが、Fubini-Study 計量の座標表示についても
一応触れておこう。
の複素斉次座標
をとる。
の各点の接ベクトルを
の元と同一視しておく。
の長さは、
であたえられる。
の計量を求めよう。 の点 における
の接ベクトル を考える。
を に関する接平面の成分と法線方向の成分に分解し、
接平面成分の長さを求めることが必要になる。
と とのなす角を とおくと、内積に関する有名な公式
今の場合 $||p||=1$ だから
により、接成分の長さの二乗は、
と求めることができる。これが の計量になる。
の計量を得るためには、
ここからさらに -作用の方向の成分を引き去る必要がある。
上と同様の考え方によって、
($v$ の、$S^n+1$ に接し、$S^1$ 軌道 と垂直な成分の長さ)
と結論することができる。これが Fubini-Study 計量を与える基本である。
座標を使って表現すると、Fubini-Study 計量を与える(もととなる)
上の計量は、
と言うことになる。
話を
らしくするために、 への制限を
やめて、長さ に関して斉次な形で書くと、次のようになる。
これが斉次座標で表現した Fubini-Study 計量であって、
非斉次座標に移るには定石通り一つの に関して
とおいてやれば良い。
詳細は読者にお任せしよう。
平成16年8月24日