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$ T^* M$ のシンプレクティック構造と微分作用素の交換関係との関係

微分作用素の環は(微分作用素としての)階数によってフィルターづけされる。

$\displaystyle Diff(M)=\sum_n Diff_n(M).
$

このフィルターづけされた環の"Gr" をとったのが $ T^* M$ の上の関数環 である。$ n$ 階の微分作用素 $ D\in Diff_n(M)$ が代表する $ Gr_n(Diff(M))$ の元を $ (D)_n$と書くことにする。

$ Diff(M)$ のフィルトレーションは次のような特徴をもつ。

$\displaystyle [Diff_n(M),Diff_m(M)]\subset Diff_{n+m-1}(M)
$

その結果、 $ Gr(Diff(M))$ には「一つ次数がずれた」ブラケットが定義される。

$\displaystyle \{(D)_n,(D')_m\}=([D,D'])_{n+m-1}
$

このブラケットが、前節で定義された $ T^* M$ のシンプレクティック構造に 対応したポアソン括弧である。

この対応から学ぶべきものはたくさんあるが、それはおいおいでて来るので、 ここではこのぐらいにとどめて先に進むことにする。



平成16年8月24日