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$ A_R$$ *$-表現 $ H_R$ の正体 II

前々節の例は次のように理解することもできる。

$ A={\Bbb C}[z_i,\overline{z_j}]$ を、 $ H=L^2(R^{n+1})$ への $ *$-表現 $ \Phi$ を、

で定義する。(実は、かなりゆるい条件のもとで、$ S$$ *$-表現は このようなもの(のいくつかの直和)しかないことを示すことができる。 )

$ T=\sum_i z_i \overline{z_i}$$ H$ 上の正値な作用素である。 $ T$ の固有関数を考えよう。各 multi-index $ \alpha$ に対して 次のような $ H$ の元を考える。 (これは、定数倍を除いて $ \Phi(z^\alpha)e^{-x^2/2}$ に一致する。)

$\displaystyle \phi_\alpha=H_{\alpha}(x)e^{- x^2/2}
$

ここに、 $ H_{\alpha}$ は、エルミート多項式

$\displaystyle H_{\alpha}(x)=e^{x^2}(d/dx)^{\alpha}(e^{-x^2})
$

である。 すると、各 $ \phi_\alpha$ は、$ T$$ \vert\alpha\vert$ に属する固有ベクトルであり、 かつ、 $ \{\phi_\alpha\}$ はヒルベルト空間 $ H$ の直交基底をなすことがわかる。

$ N(J)$$ T$ の各固有空間を保つことから、 $ N(J)$ の表現をそれらの固有空間上に 実現することができる。これが $ A_R$ の表現 $ H_R$ の正体である。

このように考えてみると、$ A_R$ の表現は $ A$ の表現から誘導されたものしかない ということになる。これでは如何にもつまらないのだが、この問題については 次の機会に考えることにする。



平成16年8月24日