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: 118ページの余話 : 単行本サポートページ : 104 ページの図1のキャプションの訂正(第2刷で修正されました)

112 ページ(コラム8)のマチガイ(第2刷で修正されました)と説明

$ \frac{d}{dx}$ は実軸上のいろんな関数に代入可能と書いてしまいましたが、 ここはまちがいで、虚軸上の関数に代入可能が正解でした。 もちろん、$ i$ をつけて、 $ i\frac{d}{dx}$ は実軸上の関数に代入できるといってもよろしい。

簡単な説明をつけると以下のとおりです。

一般に正方行列 $ A$ に対して、 正則行列 $ P$ があって $ PAP^{-1}$ が対角行列 $ \operatorname{diag}(d_1,d_2,\dots,d_n)$ であらわされるならば、任意の複素係数多項式 $ f$ に対して、

$\displaystyle f(PAP^{-1})=\operatorname{diag}(f(d_1),f(d_2),\dots,f(d_n))
$

が成り立ち、このことから

$\displaystyle f(A)=P^{-1}\operatorname{diag}(f(d_1),f(d_2),\dots,f(d_n))P
$

という式が成り立つことがわかります。

一般に、$ A$ が自己共役な行列 ($ A^*=A$)ならば、$ A$ は対角化可能で、 しかも $ A$ の固有値の集合(スペクトル集合) $ \{d_1,d_2,d_3,\dots,d_n\}$ は実数直線 $ \mbox{${\mathbb{R}}$}$ の上に乗っていることがわかります。 スペクトル集合上の任意の関数 $ h$ に対して $ h$$ g$ のような関数で「近似」 (実際にはスペクトル集合が有限集合なので、その上で完全に一致するように取れる) することにより、$ h(A)$ を定義することができることがわかります。

作用素、すなわちサイズが無限大の行列に対しても 上で述べたような「代入算」は可能です。(ただし、今度はスペクトル集合は有限集合 ではありません。)

$ i\frac{d}{dx}$ は ( $ L^2($$ \mbox{${\mathbb{R}}$}$$ )$ というヒルベルト空間上の作用素とみたとき)、 自己共役なので、それを実数値関数に代入できるというわけです。



平成16年11月14日