エム氏は不機嫌そうにいいました。
「それでは直線ちゃうやないか。線分や。」
新人氏も血の気が多かったのか、それなら、と 黒板よりはみ出して、演習室の壁、さらには天井にまで線を伸ばしました。
「これでいいですか?」
エム氏もそこまでするとは思わなかったろうから、 新人氏も内心一本とったかと思ったかも知れませんが、 そこは百戦錬磨のエム氏、表情も変えずに、
「それでは半直線や。」
と言ったそうです。翌日演習室の掃除をしに来た人はさぞや びっくりしたことでしょう。
この話は、単なる笑い話かと思っていたのですが、実は数学 の歴史を変えるあるアイディアの話とすごく関係があったのです。