ユークリッド空間の回転運動のなかで、整数回繰り返すと元にもど
るものを有理回転と呼ぶ。
これの格子上のアルゴリズムで実現したものを、離散有理
回転と呼
ぶことにする。
離散有理回転により生じる格子上の点の軌道を、離散有理回転列と呼
ぼう。
これは二次元の場合
0\leq a_{n+1} + \lambda a_n + a_{n-1} < 1 (-2<\lambda<2)
という不等式で定義されるごく簡単な見かけの数列となる。
二次元離散有理回転が周
期的になるかどうか、その周期の長さはどのように分布するかは興味深い問題である。
その研究に領域交換のジグソーパズルのような力学系を導入する。
すると、その領域
交換に対応して多角形タイル張りが生じ、いくつかの場合にはその周期性が証明され
る。
これは、A.Pethoe, H.Brunotte, W.Steiner, J.Thuswaldner 等との共同研究で
ある。