理工系線形代数学 No.4要約

今日のテーマ:連立方程式の解法と行基本操作

階段行列 $C$ とは、次のような行列である。

$r$ のことを階段行列 $C$ の 階数と呼ぶ。

\includegraphics[scale=0.5]{echelon01.jpeg}
↑階段行列のイメージ。白い部分はすべて成分が0. グレーの部分は先頭が $1$ で始まる$^*$. そのあとは 0 を含めなんでもよい。ひっくり返すと階段っぽい(?) なお、 *のところ、教科書では、$1$ ではなく、「0 以外の定数 」で始まると書いてある。 行基本変形が「行を定数倍すること」を含むため、本質的にはどちらでもよい。)

注意点を $2$ つほど書いておく:

$A$ を行基本変形して階段行列 $C$ に直すことができる。


\begin{itembox}[l]{行列の{\bf 行基本操作} とは}
\begin{enumerate}
\ite...
...する。
\end{enumerate}という操作のことであった。
\end{itembox}

$C$ の取り方、直し方はいろいろあるが、 $C$ の階数は $A$ にしか依らない。 これを $A$階数と呼び、 $\operatorname{rank}(A)$ で書き表す。

$A \mathbbm x=\mathbbm b$ において、$A$ のことを係数行列、 $[A\ \mathbbm b]$ のことを拡大係数行列とよぶ。

階数を用いると、連立 $1$ 次方程式の解法は次のように整理できる。

定理 4.1   $(m,n)$-行列 $A$$(m,1)$-行列 $\mathbbm b$ ($m$次元列ベクトル)が与えられているとする。 $A \mathbbm x=\mathbbm b$ が解を持つ ${\Leftrightarrow}$ $\operatorname{rank}(A) = \operatorname{rank}([A\ \mathbbm b])$

さらに、解を持つときの解空間の次元は

$\displaystyle n-\operatorname{rank}(A)
$

である。言い換えると、解はこれだけの「自由に動けるパラメータ」をもつ。