今日のテーマ:ガロア拡大とガロア群
前回に述べた系7.11 は破壊力のある定理である。
ただし、 が無限個の元をもたなければならないことが少し面倒な条件であった。
じつは、有限個の元しかもたない体(有限体と呼ばれる) は構造がよくわかっていて、その理論を用いて
が有限体の場合を別途調べることにより、系7.11の
仮定を除くことができる。この講義ではその部分は少し省略して、
はじめから系7.11が有限の仮定無しでつかえることを承知して先に進むことにする。
このとき は
上一つの元で生成される。
(
は
上 単純拡大(単拡大もしくは単生成)という言い方もされる。)
は写像の合成について群をなす。この群を
の
上のガロア群とよび、
体の有限次ガロア拡大が与えられると、ガロア群がひとつ定まる。 この群を詳しく調べることにより、体の拡大の様子が手に取るようにわかる。 これがガロア理論の真骨頂である。
ガロア群を計算するときには、
○付記 体 上のベクトル空間であり、環でもある集合(で、いくつかのcompatibilityを満たすもの)を
-代数 (
-algebra) とよぶ。
-代数
の間の写像
は、それが
-線形写像でかつ環準同型でもあるとき、
-代数の準同型 (
-algebra homomorphism) とよばれる。
の間の
-algeba homomorphism を
と書くが、この記法を本講義の体の同型のケースに用いているのである。なお、
は体と限らず、
自体も一つの環のケースを扱うこともある。
その場合は
-algebra hom. は
-加群の準同型でかつ ring hom. でもあるものを呼ぶのである。