本講義の目的 :
高校までの数学が「料理を味わう勉強」とするなら、 この講義での数学は「料理を作る勉強」である。 とは言っても、「野菜を畑で作る」 ところから始めると大変なので、ある程度は出来合いのものをもちいる。 他方で、「レトルトを温めておしまい」では料理とはよべない。 おなじように、高校で習った「中間値の定理」などの定理を ここで手ばなしで使ってはいけない。 指数関数、対数関数、三角関数等もアウトである。 ではどこまで用いいて良いかといえば次のようになる。
◎集合と、その元との区別が大事。 「実数の集合を一つ考える。」というのと、「実数を一つ考える。」というのを よく意識して区別すること。
◎ には端点があって、そこでのようすは のほかの点の ようすと大きく異っている。それに対して、 の各点はどの点も似ている。
◎ には最大元があるが、 にはない。 次の定義を見よ。
◎ 集合の上界は存在するとは限らない。 また、上界が存在したとすると、それはいくつもある。
旅行に行くとき、かかる旅費をキッチリ計算して、その分のお金しか 持って行かない人は少なかろう。「大体△万円あれば十分」とか 見積もる。これが上界の考え方。
(解答) と因数分解できるので、
上界は一つ挙げれば十分である。上の例題なら (上限) でも良いし、 でもよい。 が因数分解できない場合も、 つぎのような別解ならうまくいく。
(別解) まず、 とおくと、 の元 は を満たす。 なぜなら、もし なる が存在したとすると、
次のことは、実数の極限を考える上で基本的である。