線形代数学II No.6要約

今日のテーマ: 直交射影を表す行列(2)

ベクトル空間 $V$ の基底 $B=\{\v _1,\dots, \v _n\}$ が与えられたとき、 $V$ の元 $\sum_i c_i \v _i$ $\mbox{${\mathbb{R}}$}$$^n$ の元 $\begin{pmatrix}c_1\\ c_2\\ \vdots \\ c_n \end{pmatrix}$ と 同一視されるのでした。 $V$ が計量ベクトル空間で、$B$ が 正規直交基底(ONB) ならば、$V$ の内積は $\mbox{${\mathbb{R}}$}$$^n$ の標準内積に対応します。 $\mbox{${\mathbb{R}}$}$$^n$ の元 $\u _1,\u _2$ の標準内積は、行列の積を用いて $\u _1\cdot \u _2 = {}^t \u _1 \u _2$ と書くことができることにも注意しておきます。

先週に引き続き以下でも、標準的な内積を用いる。

$P$ の像(Image)と核(Kernel)の定義にも注意しておこう。 $\mathbbm v \in$   $\mbox{${\mathbb{R}}$}$$^n$ に対して、

補題 6.1   $n$ 次正方行列 $P$$P^2=P$ を満たすときべき等であるという。 $P$ がべき等で、$Q=E_n-P$ とおくとき:
  1. $Q$ もべき等である。
  2. $PQ=0, QP=0$.
  3. $\operatorname{Image}(P)+\operatorname{Image}(Q)=$$\mbox{${\mathbb{R}}$}$$^n$.
  4. $\operatorname{Image}(P)\cap \operatorname{Image}(Q)=\{{\pmb 0}\}$.
  5. $\operatorname{Image}(P)\perp \operatorname{Image}(Q)$${}^t P=P$ とは同値.

正方行列 $P$ について、つぎのことにも注意しておく。(上記補題の 幾何学的な言い換え)