体論要約 No.10

今日のテーマ: ガロア対応

$K$ のガロア拡大 $L$ を考えると、$L$$K$ 上のひとつの元だけで生成され (系6.9), ガロア群 $\operatorname{Gal}(L/K)=\operatorname{Hom}_K(L,L)$ の元の個数は拡大次数 $[L:K]$ と 一致するのでした。(補題7.2,命題7.3の内容。命題8.5としてまとまっている。)

定義 10.1   体 $K$ の有限次ガロア拡大 $L$ が与えられているとする。このとき、 ガロア群 $G=\operatorname{Gal}(L/K)$ の部分群 $H$ に対して、

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$\displaystyle L^H=\{ x \in L;\quad \sigma(x)=x \qquad (\forall \sigma \in H)\}
$

とおく。これは $K$$L$ の中間体であり、 これを $H$固定体(もしくは 不変体)と呼ぶ。

補題 10.2   体 $K$ の有限次ガロア拡大 $L$ が与えられているとする。このとき、 ガロア群 $G=\operatorname{Gal}(L/K)$ の部分群 $H$ に対して、
  1. $M=L^H$$K$$L$ の中間体である。
  2. $\vert L:K\vert=\vert H\vert$.

定理 10.3   体 $K$ の有限次ガロア拡大体 $L$ が与えられたとき、 $G=\operatorname{Gal}(L/K)$ の 部分群 $H$ と、$K$$L$ のあいだの中間体とは上の二つの補題にある対応で 一対一に対応する。

10.4   体 $K$ と 体 $K$ の有限次ガロア拡大体 $L$ が与えられたとき、$K$$L$ の 中間体は有限個しかない。

問題 10.1   $L=$$\mbox{${\mathbb{Q}}$}$% latex2html id marker 910
$ (\sqrt{3}+\sqrt{5})$ $K=$$\mbox{${\mathbb{Q}}$}$ のあいだの中間体で、 $L$ とも $K$ とも異なるものをひとつ挙げよ。 理由も書くこと。

問題 10.2   前問で、中間体をすべて挙げよ。