今日のテーマ:
体 上の一変数既約多項式 が与えられているとする。 に の根 を付け加えてできたような体 を つくることができるのであった。 もちろん、 は 上一次の因数 をもつ。 しかし、 がこれ以上因数分解できるかどうかは 場合による。
もっと一般に、 体 上の有限個の一変数多項式 が与えられたとき、 がその分解体 であるとは、各 が で一次式の積に分解できるようなときにいう。 (これは実際には積 の分解体ということと同じである。)
与えられた一変数多項式 にたいして、 その分解体は一意とは限らない。じっさい、 が の分解体なら、 の拡大体はどれも の分解体である。
上の命題を用いると、 が の分解体であるとは、 を十分大きい体 に埋め込んだ時に の における 上の共役がすべて に 含まれているということと同値であるということがわかる。
中への -同型 が任意に与えられたとき、 の延長であるような中への同型 が存在する。
上の定理の条件は 「( の十分大きな拡大体 の中で,) のすべての 上の ( 内での)共役が に属する」ということと同値である。
上で「間に合わせ的」と書いたのは次のように「最小...」と呼ぶことが 普通だからである。(英語なら the が付くか否かの違いに過ぎない。)
今回のまとめ:
一変数多項式はそれがどんなものであれ体を拡大すれば 一次式の積に分解できるということ、そのために必要な体はどれも 同型であることを学んだ。このことは今後の議論に重要な基礎を与える。 古典的な言葉と見方を用いると、このことは「任意の一次方程式に対して、 その根をすべて持つような体を構成できる」こと、そして「そのような体は 同型を除いて一意である」ことを示している。