環論 No.14要約

\fbox{今日のテーマ} 《ベズーの等式》

命題 14.1   可換環 $R$ の元 $a,b$ に対して、次は同値である。
  1. $\displaystyle (a,b)=(1)
$

  2. ある $l,m \in R$ が存在して、$la+mb=1$ が成り立つ。

ユークリッド環については、最大公約数が $1$ であるような $a,b$ に対して、 上の命題のような $l,m$ は互除法により求まるのであった。 $l,m$ は色々な意味で大事であるので、今回はその解説をしたい。 例としてつぎのような定理、命題を考える。(いくつかは既出である。)

定理 14.2   $p$ が素数であれば、 ${\mbox{${\mathbb{Z}}$}}/p{\mbox{${\mathbb{Z}}$}}$ は体である。

定理 14.3   体 $K$ 上の 既約多項式 $p\in K[X]$ にたいして、$K[X]/p(X)$ は体である。

命題 14.4   $a,b$ は互いに素な正の整数とする。 群 $G$ の元 $g$$g^a=e$, $g^b=e$ ($e$$G$ の単位元)を満足するならば、 $g=e$ である。