微分積分学基礎 No.6要約

今日のテーマ:平均値の定理ほかまとめ

定理 6.1 (中間値の定理)   閉区間 $ [a,b]$ 上の連続関数 $ f(x)$ が与えられていて、 $ f(a)<f(b)$ と仮定する。 $ f(a)$$ f(b)$ の間の値 $ y_0$ を準備すると、 必ずある $ [a,b]$ の元 $ x_0$ が存在して、 $ f(x_0)=y_0$ を満たす。

証明のアイディア:

上下ゲーム。考えている区間の点を半分にしつつ, 切り口で $ f$ の値が $ y_0$ より上か下かによって都合の良い方の区間を選ぶ。

定理 6.2 (最大値の原理)  

閉区間 $ [a,b]$ 上の連続関数 $ f$ は最大値を取る。

証明のアイディア:

区間を半分にしつつ、$ f$ の値の大きそうな方を選ぶ。

上の2つに共通する大事な定理:

定理 6.3 ($ [a,b]$ のコンパクト性)   $ [a,b]$ の閉区間を狭めていくと、必ず点が残る。もっと詳しく言えば、 $ [a,b]$ の空でない閉区間の減少列 $ I_1 \supset I_2\supset \dots $ は必ず共通部分を持つ。

証明: 大事であるが、実数の構成にまで迫らないと証明できないので ここでは省略する。

定理 6.4 (平均値の定理)   $ f$$ [a,b]$ を含む開区間で微分可能とする。 このとき $ [a,b]$ のある点 $ c$ で、

$\displaystyle f'(c)= \frac{f(b)-f(a)}{b-a}
$

を満たすものが存在する。

証明の方針:

$\displaystyle g(x)=f(x)-(f(a)+\frac{f(b)-f(a)}{b-a}( x-a))
$

を考える。この関数はある点 $ c\in (a,b)$ で最大値か最小値を取る。 ( $ g(a)=g(b)=0$ に注意。) $ g'(c)=0$ でなければならない。

つぎの命題が効いてくる。

命題 6.5   $ f$$ [a,b]$ を含む開区間で微分可能とする。 $ c\in [a,b]$ に対し、
  1. $ f$ $ c\in [a,b]$ で最大値を取れば、$ f'(c)=0$ である。
  2. $ f'(c)>0$ であれば、$ f$$ c$ の近くで単調増加関数である。
  3. $ f'(c)<0$ であれば、$ f$$ c$ の近くで単調減少関数である。