第一回目の主題 : 命題と論理
なお、教科書などで「命題1.5....」などとして書かれている 「命題」は大抵の場合(教科書が間違ってない限りは) 真の命題である。それに対して論理学では偽の命題も対象として扱う。
"5は 3より大きい" といった命題をひとつの文字(例えば、
)で表現することがある。
これを
と表記する。
例えば、微分積分学の基礎では、
いくつかの実数と、その全体の集合
,
関係を表す "
,
それに演算 "
"を組み合わせて基本的な命題が
作られる。
"
"
のように、「変数」を持つ命題について考えてみよう。
これ自体では真とも偽とも確定できない
(そもそも
はなんなのかも判然としない!)ので、
上の定義の意味での命題とは言えない。しかし、
どんな実数も 100より大きい、という文
はだれでも真偽が確定できて、もちろん偽の命題である。
この命題のことを
もしくは
と書く。 同様に、ある(少なくともひとつの)実数
もしくは
と書く。これは真の命題である。
は真の命題の例である。
はそれぞれ真の命題だろうか、偽の命題だろうか。
◎ and, or, not
命題を組み合わせて新しい命題をつくることもできる。
既存の命題から、新しい命題を生み出すための基本的な道具が、 「and, or, not」である。その説明のために、まず つぎの定義をしておく。
「or」と「ならば」の使い方はとくに注意が必要である。 日常語としては、これらの語を上記以外の使い方で、 時と場合に応じて用いることもあるが、 それでは「俺はそういう意味では言わなかった」などの齟齬が生じるおそれがある。 そこで議論を明確にするために上のようにきめてある。
かけ算における九九の表や、筆算のように、 真理値についても表をつくって理解の 助けにすることがある。これを真理表という。 様式は、どのようなものでも良いわけだが、例えばつぎのようにつくる。
P | Q | P and Q | P or Q | not P | Q | (not P)or Q |
0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 |
0 | 1 | 0 | 1 | 1 | 1 | 1 |
1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 |
1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 1 | 1 |
数学の命題は、「基本的な命題」と, いくつかの変数、
, and, or, not,
を組み合わせて作られている。
例えば、「
は
で連続である」 という命題は
と書かれる。
は真の命題だろうか、偽の命題だろうか。
「
ならば
」は、
が成り立つときには、
が成り立つことを
主張している。では
が成り立たないときにはどうだろうか。
日常生活では場合に応じて次の二つの意味に用いている。
「
または
」(
or
)についても
これは
と
のどちらかが正しいという主張であるが、
日常生活では場合に応じて次の二つの意味に用いている。