第5回目の主題 : 有限生成加群と自由加群の間の準同型 , PID 上の有限生成加群の構造(1)
◎有限生成加群 (再掲)
は -加群の全射準同型である。
** 一般に、 の -加群としての生成元 を とれば、全射 -準同型
が定義されて、 は自由加群の剰余加群として表現されることが分かる。 **
自由加群から一般の加群への準同型は次のように「生成元の行き先」で定まる。
により定まる。
があって、 は の余核 と同型になる。 (このような のことを有限表示をもつ 加群という。)
うえのことは、 が適当な有限性の条件を満足すれば(つまり、有限表示を持てば)、 は 上のような準同型の余核として得られることを示している。
と書ける。
PID 上の有限生成加群の構造(1)
次のことをこの講義からしばらくの間の目標にしよう。
言葉の確認から:
可換環 は、0 以外に零因子を持たないとき整域と呼ばれるのでした。
「余りを許した割り算」が必ずできるような整域のことを ユークリッド整域と呼ぶのでした。
次の定理は代数IB で学習済みのことと思います。
これらの諸定理から、次のことがすぐに分かる。
なる関係式が成り立っていたとする。このとき、
次のような が存在する。
は の元である。
は必ず有限で止まる。すなわち、ある があって、
が成り立つ。