今回は、行列のジョルダンの標準形について PID 上の加群の理論の立場から 概説しよう。つぎのような基本仮定を出発点とする。
は PID であるから、一般論(命題10.7)により、
次の命題が成り立つことがわかる。
![]() |
||
![]() |
複素数体
は代数的閉体であることが知られている。任意の体
に対して、
それを含むような最小の代数的閉体
が存在することが
知られている。このような
のことを
の代数的閉包
と呼ぶ。
以下、
が代数的閉体のときを主に考える。このときには
上の一変数
既約多項式は一次式に限るから、次のことがわかる。
命題11.2のような基底を取れば、
上の
の作用の表現を得ることができるが、
だけずらすことによって、
さらに良い基底を取ることもできる。
が取れる。
と書き下せる。行列で書くと
もしくは、基底の順番を取り換えて、
ただし
とジョルダン細胞の「直和」に分解される。
のとき、基本仮定のようにして