行列 の分解 は 「どのベクトルを活かすか」、「どのベクトルは潰すか」を 決めていると考えることができるのでした。 正則行列 の逆行列は の行基本変形で求めることが できるのでした。
&dotfill#dotfill;
連立一次方程式と行基本変形 (``加減法'')
一般に、 に対して となるような の全体を の核といい、 で表す。 の核は の線形部分空間であることが 容易に分かる。行列の核は行列を調べる際に基本になる。 の核を求めるのは斉次型(つまり、定数項のない)連立一次方程式
を解くのと同じことである。
(※) 転置行列。
行列 の行と列をひっくり返してできる行列、 すなわち のことを の転置行列といい、 で書き表す。 たとえば、
などという具合。 転置行列は次の性質を持つ
( は上の式が意味を持つようなサイズの行列。 はスカラー。) 転置行列を用いることにより、
行 | 列 | |||
行列を左から掛ける | 行列を右から掛ける | |||
左基本変形 | 右基本変形 |
◎(非斉次)連立一次方程式 一般に、 連立方程式
を解くことを考えよう。これは、 , , と書けば、
という方程式を解くのと同じことである。 行列 のことを上の方程式の係数行列とよぶ。 は定数項、 というわけだが、2つをまとめて、
という行列を考えると少しだけ便利である。(変数を書くのがサボれる。)この行列のことを上の方程式の 拡大係数行列と 呼ぶ。
今回は上の方程式を行基本変形のみを用いて解いてみよう。
を解いてみよう。拡大係数行列の 行基本変形を行うと、次のような具合になる。
最後の行列は階段行列になっている。 行基本変形ではここらあたりまでしか変形できないが、 方程式の解を求めるにはこれでも間に合う。 すなわち、与えられた方程式は が成り立つ場合にのみ解を持ち、 その場合の解は (「階段」の角にあたる の係数の を他の変数で芋づる式に 表すことにより、)
である。
を拡大係数行列の行基本変形を利用してとけ。