一次写像と行列。
(本講義では、係数体(スカラーの集合)としては実数体 を扱っています。 が、 を他の体に変えてもほとんど同じことが成り立つので、余力のある人は 注意しておくとよいでしょう。)
線形空間を比較するには線形写像を用います。 線形写像とは、和と、スカラー倍を保つような写像のことでした。 から他のベクトル空間 への線形写像 は 基本ベクトルの行き先 だけを決めれば定まるのでした。
&dotfill#dotfill;
を満たすとき、 は
という数字の並びによって一意に決まる。 のことを を 表現する行列 という。 (行列のサイズまで込めて言いたい時は、 -行列とか 行列、 はたまた 行 列の行列と呼ぶ。) 行列 において、 を の -成分、縦の数の並びを列、 横の数の並びを行 という。
で与えられる。 のことを と との積とよぶ。
具体的には、
により与えられる。
※レポート問題
を計算せよ。
&dotfill#dotfill;
記法に関する補足。
とは、 成分( 行 列にある数値)が の行列、という意味である。 サイズは状況に応じて判断するとよい。例えば 行列 (2行3列の行列)なら、
という具合である。 ここでの や という変数は全くのその場しのぎの変数であって、 と書いても と書いても全く同じ意味になる。